化学工場の難分解 廃水処理試験の報告書
化学工場の難分解廃液・排水処理試験
始めに
M化学工業様の難分解廃液について、
- オゾン+マイクロ・ナノバブルによる酸化反応
- ACBキャリアによる生物処理
による廃液性状の変化についてラボ試験を行った。
同廃液は従来、産廃処理として業者に処理を依頼したもの。
オゾンマイクロナノバブル難分解廃水の実験日時
- O3+MB処理=2019年11月6日(水)13:00~7日(木)8:00
- ACBキャリア処理=11月28日(木)採取
オゾンマイクロナノバブル難分解廃水の実験場所
埼玉県八潮市伊勢野347-4 エンバイロ・ビジョン株式会社 作業所
実験者
エンバイロ・ビジョン株式会社 豊岡 正志
オゾンマイクロナノバブル難分解廃水の実験条件
廃液量:約80L(容器容量120L)
- マイクロ・ナノバブル発生器:YJ-6
通水量:約30L 送気量:約15L/分・約80Ⅼの液量。 - ACBキャリア
80Ⅼの廃液容量の15%
オゾンマイクロナノバブル難分解廃水の実験結果
№ |
経過時間[h] |
採取時刻 | pH | BOD [mg/L] |
COD [mg/L] |
SS [mg/L] |
N [mg/L] |
P [mg/L] |
備考 |
1 | 原水 | 13:00 | 10.3 | 270 | 9000 | 120 | 280 | <1 | クリーム色、濁り(中) |
2 | O3+MB1.5h | 14:30 | 9.8 | 250 | 8800 | 140 | 290 | <1 | 薄クリーム色、濁り(中) |
3 | O3+MB3.0h | 16:00 | 9.0 | 350 | 9800 | 290 | 290 | <1 | 薄クリーム色、濁り(中) |
4 | O3+MB 19h | 17:00 | 7.4 | 1200 | 6900 | <10 | 300 | <1 | 透明、濁り(薄) |
5 | ACB288h | 11:00 | 8.9 | 21 | 420 | 13 | 390 | 26 | 透明度(中) |
観察
- 試験開始直後から細かな泡が発生し、試験の間、発生状態が継続した。
- 原水は異臭がしたが、オゾン+マイクロ・ナノバブル試験の開始直後から、臭気はほとんど気にならなくなった。
- 色の変化は、3時間経過してもほとんど感じられなかった。濁りも、SS成分が沈殿することから、反応時間を増やす必要があると判断し、次の日まで継続することとした。その結果、無色透明となり、SS成分が極端に減少した。
- 原水のpHはアルカリ性に振れていたが、19時間後には中性となった。
考察
- 最初の3時間での目視確認では、採取直後は透明度も増し、SSも少なく感じるのだが、時間が経過するとSS成分が沈殿し、透明度も基に戻る傾向でした。しかし、19時間経過することでSS成分が分解され、CODも1/3程度まで減少することからオゾン+マイクロ・ナノバブルの酸化処理が可能な検体といえます。
- BODの数値が上昇したのは、SS成分が分解されてカウントされているものと考えます。透明にも関わらず数値が高いのは溶解性BODとなっているからです。この傾向から、UVランプを利用した促進酸化法を加えたほうが、より早い反応を期待できます。
- 次の工程として、ACBキャリア(活性炭含有担体)による生物処理を12日間行い、結果としてBOD、COD、SS共に、数値を大幅に下げられることが確認されました。通常ですと6日間で分解試験は終わるのですが、試験開始直後は微生物が生息せず、透明な処理水のままであり、7日目にタンクを室外に出してから継続すると、一気に微生物が付き、分解が始まったことから継続しました。
- 全窒素の値は、全ての工程を経ても変わらず、脱窒素の工程を加える必要があります。
- 今回の廃水処理における機器構成は、オゾン+マイクロ・ナノバブル処理・UVランプによる促進酸化法→ACBキャリアによる生物処理→脱窒作業が必要と考えます。
- これの試験結果を元に、実地試験を行うことでより確実なシステムの構築ができますので、実機による試験を行うことをお勧めします。
写真(オゾン+マイクロ・ナノバブルによる酸化処理試験)
1.試験装置概観
2.マイクロ・ナノバブル発生装置
3.開始15分後の発泡状況
4.開始180分後の状態
色はほとんど変わらず、時間が経つとSSが沈殿する
5.開始19時間後
透明になる。
6.原水・1.5・3・9時間後の経過写真
9時間後は無色透明
写真(ACBキャリア 生物処理)
1.空気マイクロ・ナノバブルとACBキャリアを投入
水温は30℃維持。
2.7日目
微生物が付き出す。
3.14日後
乳白色となる。
4.パックテスト
COD120の値を示す。
5.処理水の色は薄い黄色となり、多少の濁りはあるが透明度も高い
難分解廃液・排水処理試験後
以上、オゾンマイクロナノバブルとACBキャリア生物処理による、化学工場の難分解廃液・排水処理実験は成功した。
この成功により、このお客様は3か月後、
本装置を採用されました。